腎がん
腎がんは、血液をろ過して尿を作る「腎臓」という臓器に発生するがんです。初期の段階では自覚症状がほとんど現れないため、健康診断や、他の病気の検査で偶然見つかるケースが多いという特徴があります。私たちの勝和会病院では、泌尿器科と腎臓内科の両面から患者さんの全身状態を把握し、精度の高いマルチスライスCTや超音波診断装置を駆使して、小さな異変も見逃さないよう精密な診断を行っています。「血尿が出た」「健康診断で精密検査を勧められた」といった際、不安を抱えて来院される患者さんに寄り添い、現在の病状と今後適した選択肢をわかりやすく丁寧に説明することを心がけています。足立区竹の塚にある当院では、泌尿器科疾患から腎機能管理まで一貫して対応できる体制を整えています。
腎がんの症状について
腎がんは、かなり進行するまで目立った症状が出にくい病気として知られています。かつては「血尿」「脇腹の痛み」「お腹のしこり」が3大症状と呼ばれていましたが、現在ではこれらがすべて揃うことは珍しくなっています。多くの場合は、症状が出る前の検査で発見されますが、もし以下のような症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診してください。
血尿について
腎がんの症状として最も多いのが血尿です。痛みがないのに尿に血が混じったり、尿がワインのような色になったりすることがあります。ずっと続くわけではなく、一度出てもすぐ止まってしまうことが多いため、「たまたまだろう」と見過ごされてしまうケースが少なくありません。痛みがない血尿こそ、重大な病気が隠れているサインである可能性があります。
血尿の精密検査や診断については「泌尿器科」のページを参照してください。
痛みやしこりについて
がんが大きくなって周囲を圧迫するようになると、脇腹や背中に鈍い痛みを感じることがあります。また、かなり大きくなった場合には、自分でお腹の上から硬いしこりに触れることもあります。これらはがんがある程度進行しているときに見られる症状です。少しでも違和感があれば、我慢せずに専門の医療機関で検査を受けることが大切です。
全身に現れる症状
腎臓以外の場所に症状が出ることもあります。これは腎がんが特殊な物質を分泌したり、代謝に影響を与えたりするためです。
- 食欲が落ちたり、理由もなく体重が減ったりする
- 原因不明の発熱が続く
- 貧血気味になり、体がだるく感じる
- 血圧が急に高くなる
腎がんの原因について
なぜ腎がんが発生するのか、そのはっきりとしたメカニズムは完全には解明されていません。しかし、これまでの臨床データや統計から、発症のリスクを高める要因(がんになりやすい要因)がいくつか明らかになっています。これらの要因を理解し、生活習慣を見直すことが予防や早期発見の第一歩となります。
生活習慣による要因
日常の習慣が腎がんの発症に深く関わっていると考えられています。特に以下の3点は重要な要因です。
- 喫煙・・タバコを吸う習慣がある方は、吸わない方に比べて腎がんの発症率が高いことが報告されています。
- 肥満・・体重が増加し、肥満状態が続くことは、腎臓への負担を増やしがんのリスクを高めるとされています。
- 高血圧・・血圧が高い状態が続くと、腎臓の血管に負担がかかり、細胞のがん化を招く一因になると考えられています。
高血圧と腎臓の関係については「高血圧性腎障害」のページを参照してください。
疾患や体質との関連
もともとの持病や体質が原因となることもあります。特に長期間にわたって透析治療を受けている方は、腎臓に嚢胞(水のたまり)ができやすく、そこから腎がんが発生しやすい傾向があります。私たちの病院は透析治療にも注力しており、透析を継続されている患者さんに対しては、定期的な画像検査を行い、異変をいち早く察知できる体制を整えています。
透析治療に関する情報は「人工透析」のページを参照してください。
腎がんの病気の種類について
「腎がん」と一言で言っても、顕微鏡で見たときの細胞の形(組織型)や、がんがどこまで広がっているか(ステージ)によって、その性質や今後の見通しは大きく異なります。患者さんお一人おひとりの状態を正確に把握することが、納得のいく治療法を選ぶための土台となります。
組織による分類
腎臓の細胞のどこががん化したかによって、いくつかの種類に分けられます。
- 淡明細胞型腎細胞がん・・腎がんの中で最も多く、全体の約7割から8割を占めます。
- 乳頭状腎細胞がん・・比較的珍しいタイプで、顕微鏡で見ると小さな突起のような形をしています。
- 嫌色素性腎細胞がん・・発育が比較的ゆっくりであるという特徴があります。
進行度(ステージ)による分類
がんの大きさと、周囲への広がりに基づいて4つの段階に分けられます。ステージ1や2は、がんが腎臓の中にとどまっている状態で、手術によって良い経過をたどる可能性が高い段階です。ステージ3は近くの血管やリンパ節に及んでいる状態、ステージ4は肺や骨などの離れた臓器に転移している状態を指します。
経過や見通しを意味する予後という言葉がありますが、腎がんは早期に発見できれば、この予後が比較的良好ながんであると言われています。
腎がんの治療法について
腎がんの治療方針は、がんの大きさ、位置、転移の有無、そして患者さんの全身状態や年齢、持病などを考慮して決定します。現在は、体への負担を抑えつつ、がんをしっかりと取り除く、あるいは抑え込むための多様なアプローチが選択可能です。
手術療法
がんが腎臓にとどまっている場合、手術が最も基本的な治療となります。以前は腎臓をすべて摘出する「根治的腎摘除術」が主流でしたが、現在はがんが小さければ、がんの部分だけを切り取って腎臓の機能を残す「腎部分切除術」が広く行われるようになっています。腎臓は血液をきれいにする大切な臓器であるため、可能な限り機能を温存することが、将来的な健康維持につながります。
薬物療法
がんが他の臓器に転移している場合や、手術後の再発リスクが高い場合には、薬による治療を行います。近年注目されているのが、自身の免疫力を利用してがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害剤」や、がんの増殖に必要な栄養を遮断する「分子標的薬」です。これらを組み合わせて使用することで、以前よりも高い治療効果が期待できるようになりました。
経過観察(監視療法)
ごく小さな早期のがんで、進行が非常にゆっくりであると判断される場合、あえてすぐに治療を行わず、定期的な検査で様子を見る「監視療法」を選択することもあります。特にお年を召した方や、他の重い持病がある方にとって、手術の負担を避けるための合理的な選択肢となる場合があります。
手術全般に関する当院の取り組みは「当院で行っている手術」のページを参照してください。
腎がんについてのよくある質問
Q1.腎がんと診断されたら、必ず腎臓を全部取らなければならないのですか?
A1.いいえ、必ずしも全部取る必要はありません。がんの大きさが4センチ以下など、一定の条件を満たせば、がんの部分だけを切り取る「腎部分切除術」が検討されます。これにより、残った腎臓の機能を守ることができ、将来的な透析導入のリスクを減らすことができます。精密な画像検査によって、部分切除が可能かどうかを判断します。
Q2.腎がんに特有の予防法はありますか?
A2.特定の「これをすれば絶対に防げる」という方法はありませんが、リスクを減らす生活習慣は確立されています。禁煙をすること、バランスの良い食事と運動で肥満を防ぐこと、そして血圧を適切に管理することが非常に重要です。また、初期は無症状なため、1年に1回は腹部超音波検査を含む健康診断を受けることが、早期発見のための唯一の手段と言えます。
Q3.腎がんは遺伝しますか?
A3.ほとんどの腎がんは遺伝とは関係なく、生活習慣や加齢によって発生します。ただし、ごく稀に特定の遺伝子の変化が原因で家族性に発症する「遺伝性腎がん」というタイプも存在します。若い年齢で発症したり、両方の腎臓に複数のがんができたりした場合には、遺伝的な要因を考慮して詳しい検査を行うことがあります。
Q4.治療が終わった後の生活で気をつけることはありますか?
A4.手術で腎臓を片方摘出した場合や部分切除をした後は、残された腎臓の機能を大切にする必要があります。塩分を控えた食事を心がけ、血圧や血糖値の管理を徹底してください。また、再発を早期に見つけるために、主治医が決めたスケジュール通りに定期的な通院と検査を欠かさないことが、健やかな生活を長く続けるための鍵となります。

