I-HDF
勝和会病院では、人工透析を必要とする患者さんが、日々の生活をより健やかに、そして快適に過ごせるよう、質の高い透析治療の提供に努めています。その一環として、当院では通常の血液透析に加え、オンラインHDFやI-HDFといった先進的な透析手法を導入しています。特にI-HDF(間欠補充型血液透析濾過)は、透析中に血圧が下がりやすい方や、足のしびれ・冷えにお悩みの方に適した治療法として注目されています。私たちは、患者さん一人ひとりの体調や合併症の状況を精密に把握し、その時々に適した透析を選択できるよう、充実した設備と体制を整えています。透析治療は長く続けていくものですから、少しでも体への負担を減らし、治療後の疲れを軽減することが大切だと考えています。
I-HDFの施術について
I-HDFは、正式名称を「間欠補充型血液透析濾過」と呼びます。これは、透析治療中に一定の間隔で、あらかじめきれいに精製された透析液を体の中に自動的に補充する仕組みを持った治療法です。通常の血液透析では、血液中の老廃物を除去するために一定の速度で水分を抜いていきますが、これによって血管内の水分が急激に減り、血圧が低下してしまうことがあります。
I-HDFでは、定期的に「逆濾過」という仕組みを利用して補充液を体に戻します。この定期的な補液が、血管を刺激して血圧を安定させる働きを助けます。また、補充された水分によって血液が薄まり、透析膜(ダイアライザー)の目詰まりを防ぐ効果も期待できます。結果として、透析の効率を維持しながら、体への負担を和らげることが可能になります。
当院では、このI-HDFを実施するために必要な高水準の清浄度を保った透析液供給システムを備えています。患者さんが安心して治療を受けられるよう、水質管理には細心の注意を払い、臨床工学技士をはじめとする専門スタッフが厳格に管理を行っています。I-HDFは、従来の透析では血圧維持が難しかった方にとって、日常生活の質を向上させるための有力な選択肢となっています。
I-HDFの主な特徴とメリット
I-HDFには、患者さんの体調管理において優れた特徴がいくつかあります。主なメリットは以下の通りです。
- 透析中の血圧が安定しやすくなる
- 末梢血管の循環を改善し、足の冷えやしびれを和らげる
- 透析膜の目詰まりを防ぎ、老廃物の除去効率を維持する
- 透析中や透析後の倦怠感(だるさ)を軽減する効果が期待できる
透析中の血圧安定について
透析中に血圧が下がってしまうと、めまいや吐き気、ひどい場合には意識を失うような症状が現れることがあります。I-HDFでは、一定時間おきに補充液を注入することで血管内のボリュームを一時的に増やし、血圧の急激な低下を抑制します。これにより、透析中の不快な症状を予防し、安全に予定通りの除水を行うことがしやすくなります。血圧の変動が激しい患者さんにとって、この「血圧の安定」は非常に大きなメリットとなります。
末梢循環の改善と不快感の緩和
透析患者さんの多くが悩まされる症状の一つに、足の冷えやしびれ、こむら返りなどの末梢循環障害があります。I-HDFによる間欠的な補液は、末梢の血管を刺激し、血液の流れを促進する効果があると考えられています。足の不快感が軽減されることで、治療中のストレスも大幅に緩和されます。また、除水による筋肉のつりが起きやすい方にも、この補充液による血管の拡張・収縮の刺激が良い影響を与えることがあります。
I-HDFが適している方
すべての透析患者さんに一律の治療を行うのではなく、当院では患者さんの主訴や合併症、検査数値に基づいて、I-HDFの導入を検討しています。特に以下のような悩みをお持ちの方には、I-HDFへの切り替えが推奨される場合があります。
透析中に血圧が下がりやすい方
除水が進むにつれて血圧が低下し、あくびや生あくび、冷や汗、立ちくらみのような症状が出る方は、I-HDFによる血圧安定効果が期待できます。治療中の安全性を高め、スムーズな除水をサポートします。
足の冷え、しびれ、かゆみが気になる方
末梢血管の循環が悪くなると、足が氷のように冷たく感じたり、正座をした後のようなしびれが出たりすることがあります。I-HDFはこうした末梢の循環不全に対する改善効果が期待されており、足の症状に悩む患者さんに適しています。
従来の透析で「だるさ」が強い方
透析治療が終わった後に、ぐったりとして動けなくなるような強い倦怠感を感じる方もいらっしゃいます。I-HDFは体への負担が比較的少ないため、治療後の回復が早まり、日常生活への復帰を助ける可能性があります。
関節痛や下肢の違和感がある方
透析アミロイドーシスなどに伴う関節の痛みや、足がムズムズしてじっとしていられない「むずむず脚症候群」の症状がある方にも、血流改善の観点からI-HDFが選択されることがあります。
類似の治療法である「オンラインHDF」のページも合わせてご確認ください。
当院でおこなっているI-HDFについて
勝和会病院は、竹ノ塚駅から徒歩13分の場所に位置し、長年にわたり地域密着型の透析医療を提供してきました。私たちの透析室では、患者さんのライフスタイルや体調に合わせた「寄り添う医療」を大切にしています。I-HDFへの対応はもちろん、患者さんが心地よく治療を受けられる環境づくりを徹底しています。
当院の透析室は、リクライニングベッドや専用テレビを完備し、Wi-Fi環境も整えています。治療中の数時間を、リラックスして過ごしていただけるよう配慮しています。また、足腰の弱い方や通院に不安がある方のために、充実した送迎サービスも提供しています。足立区周辺の多くの患者さんにご利用いただいており、通院の負担軽減に貢献しています。
また、透析治療において避けて通れない「シャント」の管理についても、泌尿器科の専門性を活かして迅速に対応できるのが当院の強みです。シャントの狭窄や閉塞といったトラブルが生じた際も、院内で検査・処置を完結できる体制を整えています。I-HDFのような質の高い透析を行うためには、良好なシャントが不可欠ですから、日常的な観察とケアを欠かしません。
送迎の利用については「送迎サービス」のページ、シャントの不安については「シャント管理」のページをご覧ください。
水質管理への徹底したこだわり
I-HDFは透析液を直接体内に注入するため、透析液が極めて清潔であることが絶対条件となります。当院では、高度な濾過システムを導入し、日本透析医学会の基準を上回る厳しい基準で水質を管理しています。細菌やエンドトキシン(細菌の毒素)を徹底的に除去した「ウルトラピュア」な透析液を安定して供給することで、安全性の高いI-HDFを提供しています。清潔な透析液は、体内の炎症を抑え、合併症を予防する上でも重要な鍵となります。
チーム医療によるトータルサポート
私たちのクリニックでは、医師、看護師、臨床工学技士、管理栄養士が密に連携し、一人の患者さんを多角的にサポートしています。透析条件の設定から、シャントのメンテナンス、日々の食事相談まで、何でも気軽に相談できる雰囲気作りを大切にしています。I-HDFを導入することで体調がどのように変化したか、患者さんの声に耳を傾け、より良い設定を追求し続けます。
I-HDFについてのよくある質問
Q1. I-HDFを受けるには追加の痛みや負担がありますか?
A1. いいえ、治療の開始時に針を刺す処置は通常の血液透析と変わりません。補充液は回路を通じて自動的に注入されるため、患者さんが痛みを感じたり、特別な操作をしたりする必要はありません。むしろ、血圧が安定しやすくなるため、治療中の体への負担は軽減されることが多いです。
Q2. オンラインHDFとI-HDFはどちらが良いのでしょうか?
A2. どちらが「優れている」ということではなく、それぞれに得意分野があります。オンラインHDFは大きな分子の老廃物をしっかり取り除くことに優れ、関節痛や痒みの改善に向いています。一方、I-HDFは血圧の維持や末梢の血流改善に重点を置いています。当院では患者さんの症状や検査結果を見て、どちらが適しているかを慎重に判断します。
Q3. 他の病院で透析を受けていますが、I-HDFを希望して転院できますか?
A3. はい、可能です。現在の主治医からの紹介状や透析データをご持参いただければ、スムーズに受け入れを検討いたします。当院では旅行や出張の際の臨時透析にも対応しておりますので、まずは相談窓口やお電話でお問い合わせください。送迎サービスのご相談も随時承っております。
Q4. I-HDFを受けられない人はいますか?
A4. 多くの患者さんが受けられる治療法ですが、シャントの血流が極端に不足している場合や、全身状態が非常に不安定な場合には、慎重な判断が必要です。心機能の状態なども考慮し、その方に適した方法を検討しますので、まずは診察の際にご相談ください。

