シャント管理
人工透析を継続されている患者さんにとって、シャントは命をつなぐための非常に大切な「命綱」です。しかし、シャントは一度作れば終わりというわけではなく、毎日の丁寧なケアと専門的な確認が欠かせません。勝和会病院では、透析治療を安心してお受けいただけるよう、日々のシャント管理に特に力を入れています。竹ノ塚駅から徒歩13分の当院では、泌尿器科と透析科が密に連携し、シャントのトラブルを未然に防ぐ体制を整えています。もし「音がいつもと違う」「腫れがある」などの違和感があれば、すぐに対応できるのが私たちの強みです。
シャント管理とは
シャント管理とは、血液透析を行うために必要な「シャント」の状態を良好に保ち、長持ちさせるためのあらゆるケアや検査を指します。シャントは、動脈と静脈をつなぎ合わせて、透析に必要な大量の血液を取り出せるようにした特別な血管です。この血管が詰まったり狭くなったりすると、十分な透析ができなくなり、体調悪化の原因となってしまいます。
日々の管理には、患者さんご自身で行っていただく「セルフチェック」と、私たち医療スタッフが行う「専門的な診察や検査」の2つの側面があります。これらを継続することで、シャントの寿命を延ばし、安全な透析治療を維持することが期待できます。当院では、患者さんと二人三脚で、この大切なシャントを守り続けることを大切にしています。
適切な管理が行われていないと、血管の中に血栓と呼ばれる血の塊ができたり、血管が細くなる「狭窄」が起きたりします。これらを早期に見つけるためには、毎日決まった時間にシャントの状態を確認する習慣が非常に重要です。私たちのクリニックでは、透析のたびにスタッフが血管の音や拍動を丁寧に確認し、異変の兆候を見逃さないよう努めています。
シャント管理の詳細については「人工透析」のページも参照してください。
シャントを長持ちさせるための日常のポイント
日常生活の中で、シャント側の腕を保護することは管理の基本です。具体的には、以下のような点に注意して過ごしていただくようお伝えしています。これらは些細なことのように見えますが、継続することで大きなトラブルを防ぐことにつながります。
- シャント側の腕を枕にして眠らないようにする
- 重い荷物をシャント側の腕にかけたり、長時間持ったりしない
- 血圧計のマンシェットをシャント側の腕に巻かない
- 腕時計やきつい袖口の服など、腕を締め付けるものを避ける
- シャント部を清潔に保ち、細菌感染を防ぐ
ご自身で行う毎日のセルフチェック
シャントの状態は刻一刻と変化します。そのため、透析日だけでなく、ご自宅でのチェックが非常に有効です。毎日決まった時間に、以下の3つのポイント「見て、触れて、聴いて」を確認する習慣を身につけていきましょう。これにより、ご自身のシャントの「いつもの状態」を把握できるようになります。
目で見て確認する「視診」
まずはシャント側の腕をじっくりと観察してください。確認すべきポイントは以下の通りです。特に透析後の針穴の状態や、全体的な色の変化には注意が必要です。
- 針を刺した部分から出血していないか、または赤くなっていないか
- 腕全体に不自然な腫れや、部分的な盛り上がりがないか
- 皮膚の色が青白くなったり、逆に異常に赤くなったりしていないか
- 血管が以前よりも浮き出てきたり、蛇行したりしていないか
指で触れて確認する「触診」
シャントの部分に優しく指を当ててみてください。正常なシャントからは、ドクドクという拍動(スリル)が伝わってきます。この感触が弱くなったり、消えたりした場合は、血管が狭くなっている可能性があります。
- 指先にザーザー、あるいはドクドクという振動を感じるか
- いつもより振動が弱くなっていないか
- 触れたときに熱感や強い痛みがないか
- 以前より血管が硬くなっていないか
耳で聴いて確認する「聴診」
聴診器をお持ちの場合は、シャントの音を確認してください。聴診器がない場合は、シャント部に耳を近づけるだけでも音が聞こえることがあります。音の変化は、血管の狭窄を知るための重要なサインです。
- ザーザーという低い連続した音が聞こえるか
- ヒューヒューという高い笛のような音に変わっていないか
- 音が以前より小さくなったり、途切れたりしていないか
シャントに起こりやすいトラブル
丁寧な管理をしていても、長い年月透析を続けていると、シャントには様々なトラブルが生じることがあります。これらは放置すると透析が継続できなくなるため、早期の対応が求められます。当院では、こうしたトラブルの予兆を感じた際に迅速な精密検査を行える環境を整えています。
シャント狭窄(きょうさく)
血管の一部が細くなってしまう状態です。原因は様々ですが、血管の壁が厚くなったり、血流の乱れによって生じたりします。狭窄が進むと透析中の脱血(血液を取り出すこと)が不十分になり、透析効率が落ちてしまいます。音が「ヒューヒュー」と高音になったときは、この状態を疑います。
シャント閉塞(へいそく)
血管が完全に詰まってしまい、血液が流れなくなった状態です。狭窄を放置して血流が極端に悪くなったり、脱水や低血圧によって血栓ができたりすることで起こります。この場合、シャントからのスリル(振動)が完全に消失します。一刻も早い治療が必要となる緊急事態です。
シャントが詰まってしまった場合の治療については「経皮的シャント拡張術・血栓除去術(PTA)」のページを参照してください。
シャント感染
シャント部に細菌が入り込み、炎症を起こすことです。透析の針を刺す場所が不衛生であったり、免疫力が低下していたりすると起こりやすくなります。赤く腫れ、熱を持ち、強い痛みが出るのが特徴です。ひどくなると全身に細菌が回り、高熱が出ることもあるため注意が必要です。
シャント瘤(りゅう)
血管の一部がコブのように大きく膨らんでしまう状態です。同じ場所に繰り返し針を刺すことや、血管壁の弱まりが原因で起こります。コブが急激に大きくなったり、皮膚が薄くなって光って見えたりする場合は、破裂の危険性があるため専門的な判断が必要です。
当院でおこなっているシャント管理について
勝和会病院では、透析治療を支える基盤として、質の高いシャント管理を提供しています。当院は泌尿器科の専門診療を行っているため、シャントの作成からトラブル時の処置まで、一貫して院内で対応できる体制を構築しています。
私たちは、患者さん一人ひとりの血管の状態を定期的に評価しています。透析中の血流監視はもちろんのこと、必要に応じて超音波検査(エコー)を行い、目に見えない血管内部の狭窄や血栓の有無を確認します。エコー検査は痛みもなく、その場で血管の太さや血流量を精密に測定できるため、非常に有用な管理ツールです。
もし管理の中で異常が見つかった場合には、迅速に適切な処置を検討します。当院では、血管を内側から風船で広げる「経皮的シャント拡張術(PTA)」や、必要に応じたシャントの再建手術にも対応しています。
手術の詳細については「内シャント造設術」のページをご覧ください。
当院の管理体制の特徴
勝和会病院のシャント管理には、以下のような特徴があります。私たちは、患者さんが安心して日々の透析を続けられるよう、ソフト・ハード両面からのサポートを徹底しています。
- 泌尿器科医が常駐しており、シャントトラブルに迅速に対応可能
- 超音波診断装置を用いた、痛みのない精密な血管評価の実施
- 透析スタッフ全員による、毎回の透析時のきめ細かな観察体制
- PTA(風船療法)による、体への負担を抑えた血管拡張術の提供
- シャントを長持ちさせるための、患者さん向けセルフケア指導
シャント管理についてのよくある質問
Q1.シャントから音が聞こえなくなったら、次の透析日まで待っても大丈夫ですか?
A1.いいえ、すぐに当院までご連絡ください。音が聞こえない、あるいは振動を感じない状態は、シャントが閉塞(詰まっている)している可能性が非常に高いです。時間が経過するほど治療が難しくなるため、夜間や休日であっても、早急な確認が必要です。
Q2.シャント側の腕が少し赤くなっていますが、様子を見ていいでしょうか?
A2.赤みがある場合は、感染症の兆候かもしれません。特に熱感や痛み、膿が出ているような場合は、すぐに診察を受ける必要があります。自己判断で市販の塗り薬などを使わず、まずはお電話で状況をお伝えください。
Q3.シャントの寿命はどのくらいですか?
A3.個人差が非常に大きく一概には言えませんが、適切な管理を行うことで10年以上使い続けられる方も多くいらっしゃいます。一方で、血管の性質により狭窄を繰り返しやすい方もいます。大切なのは、寿命を気にするよりも、日々の管理で異変を早期に見つけ、その都度適切なメンテナンスを行うことです。
Q4.透析の後の止血ベルトは、きつく締めたほうがいいですか?
A4.止血は大切ですが、きつく締めすぎるとシャントの流れを止めてしまい、血栓ができる原因になります。適切な圧で止血し、決められた時間が経過したら必ず外すようにしてください。止血に時間がかかる、あるいは止まった後にまた出血するといった場合は、血管内の圧力が高まっている可能性があるため、スタッフにご相談ください。

