経皮的シャント拡張術・血栓除去術(PTA)
透析治療を続けていく上で、シャントは「命綱」とも呼べる非常に大切なものです。しかし、長期間使用していると、血管が狭くなる「狭窄」や、血液の塊が詰まる「閉塞」といったトラブルが起こることがあります。こうした問題を、メスで大きく切ることなくカテーテルという細い管を用いて治療する方法が、経皮的シャント拡張術・血栓除去術(PTA)です。勝和会病院では、透析治療に特化した専門的な視点から、患者さんの大切なシャントを守るための迅速な対応を心がけています。東京都足立区竹の塚の地域に根ざし、透析導入前から維持管理まで、日々の生活を支える医療を提供いたします。
経皮的シャント拡張術・血栓除去術(PTA)の施術について
PTAは、シャントのトラブルを解決するために現在広く用いられている治療法です。皮膚を数ミリほど穿刺し、そこから細い管を通していくため、お体への負担が比較的少ないのが特徴です。具体的にどのような施術が行われるのかを詳しく解説します。
経皮的シャント拡張術とは
シャント血管の通り道が狭くなってしまった部分を、内側から膨らませて広げる治療です。血管の中にバルーン(風船)が付いたカテーテルを挿入し、狭くなっている箇所でその風船を膨らませます。これにより、スムーズな血流を再開させ、透析効率の低下を防ぐことが期待できます。
血栓除去術とは
シャントの中に血栓と呼ばれる「血の塊」が詰まってしまった場合に行う処置です。専用のカテーテルを使用して血栓を吸い出したり、細かく砕いて取り除いたりします。血流が完全に止まってしまった状態(閉塞)でも、迅速にこの処置を行うことで、シャントを再び使えるように導きます。
PTAが必要になるサイン
日々のシャント管理において、以下のような変化がある場合は、PTAの検討が必要になるかもしれません。
- シャントの音が以前より高くなった、あるいは聞こえにくくなった・・
- 透析中の静脈圧が高くなり、警報が鳴ることが増えた・・
- 止血に時間がかかるようになった、または血管が硬く触れる・・
- シャント側の腕が腫れたり、痛みを感じたりする・・
シャントの状態を良好に保つための日常的なケアについては「シャント管理」のページを参照してください。
PTAの具体的な流れ
施術は専用の装置がある部屋で行います。患者さんが安心して治療を受けられるよう、手順を丁寧に進めてまいります。
1. 局所麻酔と穿刺
まず、処置を行う部位に局所麻酔を施します。その後、血管にシースと呼ばれる細い管を入れるための入り口を作ります。注射を受けるときのような感覚はありますが、強い痛みを感じないよう配慮しながら進めます。
2. カテーテルの挿入と造影検査
シースからカテーテルを挿入し、造影剤というお薬を注入しながらX線で血管の様子を詳しく確認します。どこがどの程度狭くなっているのか、あるいは血栓がどこに詰まっているのかを精密に診断します。
3. バルーンによる拡張
狭窄部位にバルーンを運び、圧力をかけて膨らませます。血管が十分に広がったことを確認できれば、カテーテルを抜き取ります。この際、一時的に圧迫感や鈍い痛みを感じることがありますが、医師が様子を伺いながら慎重に作業を行います。
4. 止血と終了
カテーテルを抜いた後、穿刺部位をしっかり圧迫して止血します。処置時間は症状によりますが、通常は30分から1時間程度で終了することが多いです。大きな切開を伴わないため、その日のうちに帰宅、あるいは予定通り透析を受けることも可能です。
PTAにおけるよくある質問
Q1. 施術中に痛みはありますか?
A1. 最初の局所麻酔の際にチクッとする痛みがありますが、その後の処置は麻酔が効いているため、強い痛みを感じることは少ないです。バルーンを膨らませる瞬間に、血管が押されるような「重だるい感覚」を覚えることはありますが、無理のない範囲で調整いたします。
Q2. PTAを受ければ、もうシャントが詰まることはありませんか?
A2. PTAは狭くなった部分を広げる優れた処置ですが、一度広がった場所が再び狭くなる「再狭窄」が起こる可能性は否定できません。そのため、術後も定期的なエコー検査などで経過を追うことが重要です。何度か繰り返す場合もありますが、その分シャントを長く使い続けることにつながります。
Q3. 入院は必要でしょうか?
A3. 多くの場合は日帰りでの処置が可能です。ただし、血栓が広範囲に及んでいる場合や、全身の状態によっては経過観察のために入院をお勧めすることもあります。当院では入院透析にも対応しておりますので、ご不安な方はご相談ください。
Q4. 費用はどれくらいかかりますか?
A4. PTAは公的医療保険の適応となります。透析を受けられている方の多くは、特定疾病療養受療証などの制度を利用されているため、毎月の自己負担限度額内での支払いとなることが一般的です。
Q5. 処置のあとに気をつけることはありますか?
A5. 穿刺した部位を揉んだり、重いものを持ったりして負担をかけないようご注意ください。当日は激しい運動や長時間の入浴は避けていただきますが、翌日からは通常の生活に戻れることがほとんどです。もし、出血が止まらない、急に腫れてきたなどの症状があれば、すぐにご連絡ください。
当院でおこなっているPTAの診療について
勝和会病院では、透析を専門とする医療機関として、シャントトラブルに対して「迅速・丁寧」な対応を徹底しています。竹ノ塚駅から徒歩13分の立地を活かし、足立区周辺の患者さんが困ったときにすぐに相談できる体制を整えています。
多職種連携による早期発見
透析室の看護師や臨床工学技士が、毎回の透析時にシャントの状態を細かくチェックしています。わずかな音の変化や拍動の違和感を見逃さず、医師と共有することで、血管が完全に詰まってしまう前の段階で早期治療を提案できるよう努めています。
先進的な設備の活用
当院では超音波診断装置(エコー)やX線テレビ装置を駆使し、目に見えない血管内部の状態を的確に把握します。エコー検査は痛みもなく、その場で血管の太さや血流量を測定できるため、PTAの適応を判断する上で非常に有効なツールです。精密な診断に基づき、ご自身に合った治療法を選択いたします。
当院の透析治療全般については「人工透析」のページをご覧ください。
シャントの寿命を延ばすために
PTAを繰り返すだけでなく、根本的な原因を探ることも大切にしています。透析中の血圧管理や、ご自宅でのセルフチェックの方法についても、スタッフが親身になってアドバイスいたします。私たちは、単に「詰まりを直す」だけでなく、患者さんが笑顔で透析を続けられるよう、トータルでサポートします。
新たにシャントを作成する必要がある場合は「内シャント造設術」のページで詳しく説明しています。

