膀胱がん
膀胱がんは、尿をためる袋のような形をした膀胱の内側を覆う粘膜から発生する悪性腫瘍です。東京都足立区竹の塚にある勝和会病院では、血尿や頻尿といった患者さんが不安を感じやすい症状に対して、精密な検査と診断を行っています。膀胱がんは早期に発見できれば、体に負担の少ない内視鏡手術での治療が可能な病気です。一方で、再発しやすいという特徴も持っているため、治療後の定期的なフォローアップが非常に重要となります。私たちは、患者さん一人ひとりの状態に寄り添い、排尿の悩みからがんの治療まで一貫してサポートいたします。
膀胱がんの症状について
膀胱がんの症状で最も多く見られるのが、血尿です。特に、痛みを感じることなく尿に血が混じる「無痛性全血尿」が特徴的であり、これが早期発見の大きな手がかりとなります。尿の色が明らかに赤くなることもあれば、検査で初めて指摘される程度の微量な場合もあります。
無痛性の血尿
膀胱がんに見られる血尿の多くは、排尿時の痛みを伴いません。ある日突然、尿が赤くなったり茶褐色になったりしますが、数日で治まってしまうこともあります。しかし、症状が消えたからといって安心せず、一度でも血尿が出た場合は泌尿器科での精密な検査を受けることが大切です。
膀胱刺激症状
がんが膀胱の粘膜を刺激することで、がん以外の病気と似た症状が出ることがあります。これらの症状は「膀胱刺激症状」と呼ばれ、以下のようなものがあります。
- 頻尿・・トイレに行く回数が極端に増える。
- 排尿痛・・おしっこをする時に痛みを感じる。
- 残尿感・・尿を出し切った後もスッキリしない。
- 尿意切迫感・・急に強い尿意に襲われ、我慢が難しい。
進行した際に出る症状
がんが進行して周囲の組織や臓器に広がると、血尿以外の症状が現れることがあります。尿の通り道が塞がれることで背中や腰の痛みが出たり、足のむくみが生じたりすることもあります。こうした症状が出る前に、早期受診を心がけましょう。
膀胱がんの原因について
膀胱がんが発生する背景には、いくつかのリスク因子が関係していると考えられています。リスク因子-病気の発症率を高める要素を知ることで、予防や早期発見の意識を持つことができます。
喫煙との深い関係
膀胱がんの最大のリスク因子として知られているのが喫煙です。タバコに含まれる発がん性物質が血液に取り込まれ、尿として排出される際に膀胱の粘膜を長時間刺激することで、がんの発生を促すとされています。喫煙者は非喫煙者に比べて、膀胱がんになるリスクが数倍高まるという報告もあります。
化学物質への露出
特定の染料や化学物質(ベンジジンやナフチルアミンなど)を扱う職業に従事していた方は、膀胱がんのリスクが高まるとされています。現在は法規制が進んでいますが、過去の仕事環境が影響を及ぼす場合もあります。職業歴を医師に伝えることは、精密な診断の一助となります。
慢性的な刺激や加齢
膀胱結石や慢性的な尿路感染症による長期的な炎症も、がんの原因となることがあります。また、膀胱がんは高齢の方に多く見られる傾向があり、加齢に伴う細胞の変異が関与していると考えられています。男性に多い疾患ですが、女性でも注意が必要な病気です。
膀胱がんの病気の種類について
膀胱がんは、がん細胞が膀胱の壁のどの深さまで入り込んでいるかによって、大きく3つの種類に分けられます。この種類によって、治療方針が大きく異なります。
筋層非浸潤性膀胱がん
がんが膀胱の粘膜の表面にとどまっており、その下の筋肉の層(筋層)まで達していないタイプです。膀胱がん全体の約7割から8割を占めます。この段階であれば、膀胱を残したまま内視鏡による手術での切除が期待できます。ただし、再発しやすいという特徴があるため、慎重な経過観察が必要です。
筋層浸潤性膀胱がん
がんが筋肉の層まで深く根を張っているタイプです。この状態になると、リンパ節や他の臓器へ転移するリスクが高まります。膀胱を温存することが難しくなる場合が多く、手術や放射線治療、薬物療法を組み合わせた、より広範囲な治療が必要になります。予後-病気の経過の見通しを改善するために、早期治療が求められます。
上皮内がん(CIS)
粘膜の表面に沿って、悪性度の高いがん細胞が広がっているタイプです。一見すると平坦ですが、放置すると筋層浸潤性がんに移行しやすいため、注意が必要です。薬を膀胱内に注入する治療法などが選択されることが一般的です。
膀胱がんの種類や広がりについては「尿路悪性腫瘍」のページも併せて参照してください。
膀胱がんの治療法について
膀胱がんの治療は、がんの種類や進行度、患者さんの全身状態に合わせて選択されます。当院では、患者さんの生活の質を考慮しながら、適切な医療を検討してまいります。
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)
尿道から内視鏡を挿入し、電気メスでがんを削り取る手術です。お腹を切る必要がないため、体への負担が比較的軽いのが特徴です。筋層非浸潤性膀胱がんに対して行われるほか、がんの確定診断を下すための精密な検査としても非常に重要な役割を担っています。
この手術の詳細は「経尿道的膀胱腫瘍切除術」のページで解説しています。
膀胱内注入療法
手術後の再発を防ぐために、尿道からカテーテルを通して膀胱の中に直接薬を入れる治療法です。以下の2つの薬剤が主に用いられます。
- BCG(ウシ型弱毒結核菌)・・免疫の力を利用してがん細胞を攻撃します。上皮内がんの治療にも効果的です。
- 抗がん剤・・がん細胞の増殖を抑える薬剤を直接注入します。
膀胱全摘除術と尿路変成術
筋層浸潤性膀胱がんの場合、膀胱をすべて摘出する手術が必要になることがあります。膀胱をなくした後は、尿を出すための通り道を作る「尿路変成術」を行います。これには、腸を使って新しい膀胱を作る方法や、お腹に尿の出口(ストーマ)を作る方法などがあります。
薬物療法(化学療法・免疫チェックポイント阻害薬)
転移が見られる場合や、手術の前後に、全身的な抗がん剤治療を行うことがあります。近年では、自分自身の免疫力を高めてがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬」という選択肢も広がっており、治療の幅が広がっています。
膀胱がんについてのよくある質問
Q1. 1回だけ血尿が出ましたが、もう治ったので受診しなくても良いですか?
A1. たとえ1回だけであっても、血尿は膀胱からの重要なサインです。膀胱がんは血尿が出たり止まったりを繰り返すことがあるため、症状が消えたからといって病気が治ったわけではありません。早めに泌尿器科を受診してください。
Q2. 膀胱がんの手術をしたら、もう再発しませんか?
A2. 膀胱がんは、他の場所に新しいがんができやすい「多発性」と「再発性」という性質があります。そのため、手術が成功した後も、数ヶ月に一度の定期的な内視鏡検査や尿検査を受けることが、健康を守るために欠かせません。
Q3. 喫煙をやめれば、がんは治りますか?
A3. 禁煙だけでがんが治るわけではありませんが、治療の効果を高めたり、再発のリスクを下げたりするためには禁煙が非常に重要です。当院では、治療の一環として生活習慣のアドバイスも行っています。
Q4. 高齢ですが手術は受けられますか?
A4. 内視鏡手術であれば高齢の方でも比較的受けやすい治療ですが、心臓や肺などの持病の状態によって判断されます。私たちは、患者さんの体調を総合的に判断し、無理のない治療計画を一緒に考えてまいります。

