前立腺肥大症
前立腺肥大症は、男性特有の臓器である前立腺が加齢とともに大きくなり、尿道を圧迫することで排尿に関するさまざまなトラブルを引き起こす病気です。50代から急激に増え始め、高齢になるほど多くの方が経験する非常に身近な疾患と言えます。勝和会病院では、泌尿器科・腎臓内科に特化した専門診療を行っており、東京都足立区竹の塚の地で、長年多くの患者さんの排尿のお悩みに向き合ってきました。「年だから仕方ない」と諦めてしまう方もいらっしゃいますが、適切な治療によって症状は大きく改善し、日常生活の質を高めることが期待できます。当院では精密な検査を通じて、お薬による治療から外科的な手術まで、患者さんの状態に合わせた治療方法を提案しています。
前立腺肥大症の症状について
前立腺肥大症の症状は、大きく分けて3つの段階で現れます。最初は「尿のキレが悪い」といった些細な変化から始まりますが、進行するにつれて日常生活に支障をきたすようになります。私たちは、患者さんがどのような場面で困っているのかを詳しく伺い、症状の程度を把握することから始めています。
尿を出すときの症状(排尿症状)
前立腺が尿道を圧迫するため、尿の通り道が狭くなり、出す際に出にくさを感じることが多くなります。具体的には以下のような症状が挙げられます。
- 尿の勢いが以前よりも弱くなったと感じる
- 尿が出始めるまでに時間がかかる(いきまないと出ない)
- 尿が途中で途切れることがある
- 尿を出し終えるまでに時間がかかる
尿を溜めるときの症状(蓄尿症状)
前立腺が大きくなると膀胱も刺激されやすくなり、尿を十分に溜めることができなくなります。これにより、トイレの回数に関する悩みが増えていきます。
- 昼間のトイレの回数が多い(頻尿)
- 夜中に何度もトイレのために目が覚める(夜間頻尿)
- 急に強い尿意に襲われ、我慢が難しい(尿意切迫感)
尿を出した後の症状(排尿後症状)
尿を出し切ったと思っても、まだ膀胱に尿が残っているような感覚が残ることがあります。
- 尿を出し終わった直後に、まだ残っている感じがする(残尿感)
- トイレから出た後に、尿が下着に少し漏れてしまう
これらの症状の詳細については「排尿障害」のページを参照してください。
前立腺肥大症の原因について
前立腺肥大症の明確な原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が組み合わさって発症すると考えられています。最も大きな要因は加齢です。30代から前立腺の肥大自体は始まり、50代で約半数、80代ではほとんどの男性に前立腺の肥大が見られるようになります。
男性ホルモンの影響
前立腺の発育には男性ホルモンが深く関わっています。加齢に伴いホルモンバランスが変化することで、前立腺の細胞が異常に増殖し、組織が大きくなっていくと考えられています。これは老化現象の一種とも言えますが、大きくなるスピードや程度には個人差があります。
生活習慣や持病による影響(リスク因子)
近年の研究では、加齢以外にも病気になりやすくなる要因(リスク因子)が指摘されています。具体的には、肥満、高血圧、高血糖などの生活習慣病が、前立腺肥大の発症や進行に関与していると考えられています。そのため、当院では内科的な視点からも患者さんの健康状態を確認しています。
前立腺肥大症の進行と病気の種類について
前立腺肥大症は、進行の度合いによっていくつかの段階に分けられます。最初は尿道の圧迫が少ない状態ですが、次第に膀胱の機能にも影響を及ぼし、最終的には深刻な合併症を引き起こすこともあります。
1. 刺激期(第1期)
前立腺が少し大きくなり始めた段階です。夜間の頻尿や尿の勢いの低下を感じ始めますが、まだ膀胱に尿が残ることはほとんどありません。この時期に適切な治療を開始することで、進行を遅らせることが期待できます。
2. 残尿発生期(第2期)
前立腺がさらに大きくなり、排尿後も膀胱の中に尿が残る(残尿)ようになる段階です。常に残尿があるため、さらにトイレの回数が増え、尿意切迫感も強まります。この段階では日常生活に強い不便を感じるようになります。
3. 慢性尿閉期(第3期)
膀胱の機能が限界に達し、尿を自力で完全に出すことが困難になる段階です。膀胱が常に尿で満たされているため、あふれ出た尿が少しずつ漏れる「溢流性尿失禁」が起こることもあります。さらに進行すると、腎臓から送られてくる尿が滞り、腎機能の低下を招く恐れがあります。こうなると、腎不全という重い状態を招く可能性があるため、注意深い管理が必要です。
腎機能の低下や管理については「慢性腎臓病」のページを参照してください。
前立腺肥大症の診断と検査
当院では、患者さんの症状が前立腺肥大症によるものなのか、あるいは前立腺がんなど他の疾患が隠れていないかを慎重に判断するために、複数の検査を組み合わせて行います。泌尿器科の専門診療として、精密な診断を心がけています。
問診と国際前立腺症状スコア(IPSS)
まずは、どのような症状がどの程度あるのかを詳しく伺います。世界共通の質問票を用いることで、症状の重さを数値化し、客観的に評価します。これにより、治療によってどれだけ改善したかを比較することも可能になります。
超音波検査(エコー検査)
お腹の上から、あるいは肛門から超音波を当てることで、前立腺の大きさ(体積)や形、膀胱の様子を確認します。痛みはほとんどなく、前立腺がどの程度尿道を圧迫しているかを視覚的に捉えることができる重要な検査です。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)
専用のトイレに尿をするだけで、尿の勢いや量、排尿にかかる時間を自動的に測定する検査です。ご自身の尿の出方が客観的なグラフとして表示されるため、詰まりの程度を把握するのに非常に役立ちます。
血液検査(PSA測定)
前立腺特異抗原(PSA)という値を測定します。この値が高い場合、前立腺肥大症だけでなく、前立腺がんの可能性を検討する必要があります。当院では前立腺がんの早期発見にも力を入れており、疑わしい場合は精密検査を検討します。
前立腺がんの疑いについては「前立腺がん」のページを参照してください。
前立腺肥大症の治療法について
前立腺肥大症の治療は、以前と比べて格段に進歩しています。患者さんの症状の重さや、全身の状態、ご本人の希望を考慮しながら、無理のない治療計画を立てていきます。
薬物療法
現在、多くの患者さんが最初に行うのがお薬による治療です。症状を緩和させ、尿を出しやすくするための数種類のお薬があります。当院では症状のタイプに合わせて使い分けを行っています。
- α1遮断薬・・前立腺や尿道の筋肉の緊張をほぐし、尿道を広げて尿を出しやすくします。即効性があり、多くの方に用いられます。
- 5α還元酵素阻害薬・・肥大した前立腺自体を小さくしていく効果が期待できるお薬です。半年程度の継続が必要ですが、病気の進行を抑える働きがあります。
- PDE5阻害薬・・尿道や膀胱の血流を改善し、排尿症状を和らげる新しいタイプのお薬です。
手術療法
お薬で十分な効果が得られない場合や、尿閉(尿が全く出なくなる状態)、尿路感染症、結石などを繰り返す場合には、手術を検討します。勝和会病院では、体への負担が比較的少ない外科的治療に対応しています。
経尿道的前立腺手術(TURPなど)
尿道から内視鏡を挿入し、肥大した前立腺の組織を内側から削り取る、あるいはくり抜く手術方法です。お腹を切る必要がないため、回復が早いというメリットがあります。当院では内視鏡を用いた手術に対応しており、患者さんの症状や検査結果に応じて適した手法を検討します。
手術の詳しい内容については「経尿道的前立腺手術」のページを参照してください。
前立腺肥大症についてのよくある質問
Q1. 市販のお薬を飲んでも大丈夫ですか?
A1. 市販の頻尿改善薬などは、一時的に症状を和らげる場合もありますが、根本的な原因である前立腺の肥大自体を治療するものではありません。また、風邪薬や鼻炎薬の一部には、尿をさらに出にくくさせる成分(抗コリン薬)が含まれており、重い排尿困難を引き起こすこともあるため注意が必要です。まずは泌尿器科で適切な診断を受けることをお勧めします。
Q2. 治療を始めれば、以前のように勢いよく尿が出るようになりますか?
A2. 多くの患者さんが、治療開始後に症状の緩和(寛解に近い状態)を実感されています。ただし、前立腺肥大症を長期間放置して膀胱の筋肉が傷んでしまっている場合は、尿道が広がっても勢いが完全には戻らないこともあります。そのため、症状が軽いうちからの早期治療が重要です。
Q3. 前立腺肥大症を放っておくとがんになりますか?
A3. 前立腺肥大症と前立腺がんは別の病気であり、肥大症ががんに変わることはありません。しかし、肥大症とがんは同時に発生することがあります。当院では検査の際、常にがんの可能性を否定(病気ではないと確認すること)しながら診療を進めています。
Q4. 生活の中で気をつけることはありますか?
A4. アルコールの過剰摂取は尿を溜めやすくし、急に尿が出なくなる原因になります。また、水分補給は大切ですが、寝る前の飲み過ぎは夜間頻尿を悪化させます。適度な運動を心がけ、便秘を避けることも骨盤周りの負担を減らすのに役立ちます。
当院の前立腺肥大症診療について
勝和会病院では、泌尿器科の専門性を活かした包括的な診療を提供しています。足立区竹の塚にお住まいの皆さんはもちろん、広域から排尿トラブルを抱えた患者さんが来院されています。当院の強みは、単に症状を抑えるだけでなく、腎臓の機能や全身の状態を見据えた治療を行える点にあります。
私たちは、内視鏡を用いた経尿道的手術や、尿路結石に対する体外衝撃波結石破砕治療(ESWL)など、高度な医療設備を整えています。排尿のお悩みは、なかなか他人には相談しにくいデリケートなものですが、私たちは患者さんが話しやすい雰囲気づくりを大切にしています。診察室では、これまでの経過や不安に思っていることを何でもお話しください。
当院の診療体制については「泌尿器科」のページをぜひご覧ください。

