排尿障害
トイレの回数が多い、尿が出にくい、急に尿意を催して我慢が難しいといった「排尿障害」は、年齢のせいだと諦めてしまいがちな悩みです。しかし、これらの症状の背景には、適切な治療で改善が期待できる病気が隠れていることが少なくありません。東京都足立区竹の塚にある勝和会病院では、泌尿器科の専門診療を通じて、患者さんの生活の質を低下させる排尿トラブルの原因を精密に調べ、一人ひとりに適した治療を提案しています。
当院は、泌尿器科・腎臓内科・人工透析に特化した専門的な医療体制を整えており、尿路がんや前立腺肥大症、尿路結石といった幅広い泌尿器疾患に対応可能です。特に排尿障害については、血液検査やマルチスライスCT、超音波診断装置などを用いた多角的な診断を行い、内服薬による治療から、必要に応じた経尿道的手術まで一貫してサポートいたします。毎日を快適に過ごしていただくために、私たちは患者さんの不安に寄り添いながら、症状の緩和を目指します。
排尿障害の原因
排尿障害が起こる理由は、単一ではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていることが一般的です。大きく分けると、尿を溜める機能の問題、尿を出す機能の問題、そしてそれらをコントロールする神経の問題に分類されます。
加齢による体の変化
加齢とともに、膀胱を支える筋肉や尿道の柔軟性が変化します。特に高齢になるほど、尿を溜めておく力が弱くなったり、尿を押し出す力が低下したりする傾向があります。これは自然な変化でもありますが、日常生活に支障が出る場合は治療の対象となります。
臓器自体の病気や構造の問題
男性の場合、尿道を取り囲むように存在する前立腺が大きくなることが大きな原因の一つです。女性の場合は、出産や加齢によって骨盤の底にある筋肉が緩み、膀胱の位置が不安定になることが原因となるケースが多く見られます。また、尿路に結石ができたり、腫瘍が原因で尿の通り道が狭くなったりすることもあります。
神経系のトラブル
尿を溜めたり出したりする司令は、脳や脊髄などの神経を通じて行われます。脳梗塞や脊髄損傷、糖尿病による神経の障害などが起こると、膀胱への司令がうまく伝わらなくなり、尿意を正しく感じられなかったり、自分の意思で排尿できなくなったりすることがあります。
薬の副作用や生活習慣
他科で処方されている風邪薬、精神安定剤、血圧を下げる薬などの中には、膀胱の動きに影響を与える成分が含まれていることがあります。また、水分の過剰摂取やカフェイン、アルコールの摂りすぎといった食生活の偏りも、排尿の回数や量に直接的な影響を及ぼします。
排尿障害の具体的な症状
排尿障害の症状は多岐にわたりますが、大きく「尿を溜める時の症状」「尿を出す時の症状」「排尿した後の症状」の3つのタイプに分けられます。
尿を溜める時の悩み(貯尿症状)
尿をしっかりと膀胱に保持できない状態で、日常生活で最も不便を感じやすい症状です。
- 頻尿・・日中の排尿回数が通常より多い(一般的に8回以上)。
- 夜間頻尿・・夜眠っている間に、尿意で1回以上目が覚める。
- 尿意切迫感・・急に我慢できないような強い尿意に襲われる。
- 尿失禁・・自分の意思に反して尿が漏れてしまう。
尿を出す時の悩み(排出症状)
尿を出したくてもスムーズに出せない状態で、排尿に時間がかかるのが特徴です。
- 尿勢低下・・尿の勢いが以前よりも弱くなった。
- 排尿遅延・・トイレに立っても、尿が出始めるまでに時間がかかる。
- 腹圧排尿・・お腹に力を入れないと尿が出にくい。
- 尿中断・・排尿の途中で尿が途切れてしまう。
排尿した後の悩み(排尿後症状)
排尿が終わった直後に感じる不快な症状です。
- 残尿感・・尿を出し切ったはずなのに、まだ残っている感じがする。
- 排尿後尿滴下・・排尿が終わって下着をつけた後に、尿が少し漏れてくる。
排尿障害によって引き起こされる病気
排尿障害は単なる症状ではなく、特定の疾患が原因となっている場合がほとんどです。当院では、症状の背後に潜む以下の病気を念頭に置きながら診察を進めてまいります。
前立腺肥大症
男性特有の疾患で、肥大した前立腺が尿道を圧迫することで、尿が出にくくなったり残尿感が生じたりします。進行すると尿が全く出なくなる「尿閉」の状態になることもあるため、早めの処置が重要です。
前立腺肥大症の詳細については「前立腺肥大症」のページを参照してください。
過活動膀胱
膀胱が過敏になり、尿が十分に溜まっていないのに勝手に収縮してしまう病気です。急な尿意や頻尿が主な症状で、高齢の方だけでなく若い世代にも見られることがあります。
尿路結石症
腎臓や尿管、膀胱に石ができる病気です。結石が尿の通り道を塞ぐと、激しい痛みとともに、排尿のしにくさや血尿が見られることがあります。当院では体外衝撃波結石破砕治療などの高度な治療にも対応しています。
尿路結石症の詳細については「尿路結石症」のページを参照してください。
尿路感染症
膀胱や腎臓に細菌が侵入して炎症を起こす病気です。排尿時の痛みや残尿感、頻尿が代表的な症状で、悪化すると発熱や背中の痛みを伴うこともあります。
尿路感染症の詳細については「尿路感染症」のページを参照してください。
尿路悪性腫瘍(膀胱がん・前立腺がんなど)
血尿や排尿障害をきっかけに、がんが見つかることもあります。特に痛みのない血尿がある場合は注意が必要です。当院ではCT検査や内視鏡検査を用いて、精密な診断を行っています。
尿路悪性腫瘍の詳細については「尿路悪性腫瘍」のページを参照してください。
慢性腎臓病との関連
排尿障害を放置し、膀胱から尿が逆流したり腎臓に負担がかかり続けたりすると、腎機能が低下する恐れがあります。腎臓の健康を守るためにも、排尿の管理は非常に大切です。
慢性腎臓病の詳細については「慢性腎臓病」のページを参照してください。
当院で行う排尿障害の検査
的確な治療を行うためには、まず「何が原因で排尿がうまくいっていないのか」を正確に把握する必要があります。勝和会病院では以下のような検査を実施しています。
- 尿検査・・尿中の潜血や白血球、細菌の有無を調べ、炎症やがんの可能性を確認します。
- 血液検査・・腎機能の状態や、前立腺がんの腫瘍マーカー(PSA)を測定します。
- 超音波(エコー)検査・・残尿の量や、前立腺の大きさ、結石の有無などを痛みなく調べます。
- マルチスライスCT検査・・尿路全体の構造を詳細に映し出し、腫瘍や結石の位置を特定します。
- 内視鏡検査(膀胱鏡)・・尿道から細いカメラを入れ、膀胱や尿道の内側を直接観察します。
- 尿流量測定:排尿時の尿の勢いや量、排尿にかかる時間を測定し、排尿状態を確認します。
- 膀胱容量測定:膀胱にためられる尿の量や排尿後の残尿量を確認し、排尿機能を評価します。
排尿障害の処置や治療法
診断結果に基づき、患者さんのライフスタイルや年齢、体の状態を考慮して、最も適した治療計画を立てていきます。
生活習慣の改善指導
軽度の症状であれば、生活習慣の見直しだけで改善が期待できる場合があります。夕方以降の水分摂取量の調整、骨盤底筋を鍛える体操、膀胱に尿を溜める練習(膀胱訓練)など、ご自宅で取り組める内容を分かりやすくアドバイスいたします。
内服薬による治療
現在、排尿障害の治療には多くの優れた薬が用いられています。前立腺の筋肉を緩めて尿を出しやすくする薬、過敏になった膀胱を落ち着かせる薬、尿を作る量を調節する薬など、症状の種類に合わせて処方いたします。
手術による治療
薬物療法で十分な効果が得られない場合や、症状が重い場合には、手術を検討します。当院では、体への負担が少ない経尿道的な手術を中心に行っております。
- 経尿道的前立腺手術・・尿道から内視鏡を入れ、肥大した前立腺を削って通り道を広げます。
- ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法・・過活動膀胱や尿失禁に対し、膀胱の壁に薬を注入して過剰な収縮を抑えます。
当院で行っている手術の詳細については「当院で行っている手術」のページを参照してください。
カテーテル管理やその他の処置
ご自身で排尿が全くできない場合や、手術が難しい場合には、尿道に細い管(カテーテル)を通したり、お腹から膀胱に直接管を通す「膀胱瘻」などの処置を行い、安全に尿を排出できるように管理します。
排尿障害についてのよくある質問
Q1. 年齢のせいだから仕方ないと諦めるべきですか?
A1. いいえ、諦める必要はありません。加齢が要因の一つであることは事実ですが、お薬や簡単な生活習慣の工夫で劇的に改善するケースも多いです。まずは「不便だな」と感じた時点でご相談ください。
Q2. 頻尿だと思っていたら、実は重大な病気だったということもありますか?
A2. はい、考えられます。単なる頻尿だと思って受診された結果、糖尿病や前立腺がん、あるいは腎機能の低下が見つかることもあります。症状を放置せず、検査を受けることが健康を守る第一歩です。
Q3. 泌尿器科の検査は痛いイメージがあって不安です。
A3. 多くの検査は、尿検査や超音波検査などの痛みを伴わないものです。内視鏡などの検査が必要な場合も、できるだけ痛みを抑えるような工夫をしておりますので、安心してお越しください。
Q4. 夜中に何度もトイレに起きるのは、水分を控えるべきですか?
A4. 寝る前の過剰な水分は控えたほうが良いですが、極端な制限は脱水症状や脳梗塞などのリスクを高めます。適切な水分の摂り方は人それぞれですので、診察時にアドバイスさせていただきます。

